【レビュー】スパイネット / SpyNet

2~4人用
30~45分 
10歳~


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『スパイネット(SpyNet)』は、『マジック:ザ・ギャザリング』や『キング・オブ・トーキョー』などで知られるリチャード・ガーフィールドが手がけたカードゲームで、プレイヤーは国際スパイ組織のリーダーとなり、エージェントを集め、任務をこなしながら得点を競う。シンプルなドラフトシステムと陣取り要素、そしてチーム戦も可能な柔軟なルールが特徴で、短時間ながら駆け引きに富んだゲーム体験を提供してくれる。




ゲームの目的は、4つのス破壊、技術、情報)の分野で優秀なエージェントや任務カードを集め、最終的に各分野で最も強い勢力値を築いて得点を稼ぐことだ。手番では「スパイネット」と呼ばれる場に並んだ最大4つの山札からカードをドラフトする。山を上から順に確認しながら、いつカードを取るか、それとも先送りするかを選ぶのだが、見れば見るほど良いカードをスキップして次のプレイヤーに渡すリスクも高くなる。この**「知りすぎることの恐怖」**が、シンプルな中にも緊張感を生む仕組みとなっている。




プレイして感じたのは、非常にテンポよく進行する中にもしっかりとジレンマと心理戦が詰め込まれているということ。たとえば、表向きに見えている任務カードが魅力的でも、それに対応するスーツのエージェントをまだ持っていない場合、取りにいくかどうかで迷いが生じる。また、スーツごとに力を集中すれば得点は伸ばしやすいが、任務の引きに恵まれないと無得点で終わるリスクもある。広く浅く手を広げるか、深く狙って一点突破を目指すか――そんな判断が常に迫られる。




特に面白いのが3~4人でのチーム戦ルールで、味方と意思疎通ができない中で、互いの動きを読みながら連携する必要がある。あえて自分は任務を控えて味方に譲る、相手の得点を妨害するために不要なカードを取り除くなど、非言語的な連携プレイが思わぬドラマを生む。筆者がプレイした際も、味方が潜入系に絞っていることを読み取り、サポートに回った結果、終盤で一気に大量得点をたたき出して勝利する展開となり、盛り上がりもひとしおだった。




アートワークはやや無骨で、近未来スパイ風というよりもレトロなエージェントのような雰囲気を漂わせているが、これはこれでB級スパイ映画のような味があり、軽妙なゲーム性とマッチしているようにも感じた。




ただし、カード効果はすべてアイコンと数字のみで構成されているため、初回プレイでは何が強いかの判断がつきにくい点には注意が必要。また、運要素が比較的強く、ドラフトで欲しいカードがなかなか回ってこないことも多いため、シリアスな戦略ゲームというよりは「軽めの読み合い&チーム戦を楽しむ」パーティー寄りのゲームとして捉えるのが正しいだろう。




総じて、『スパイネット』は、短時間で“スパイ活動のジレンマ”をしっかり味わえる良作である。チーム戦でワイワイ遊ぶも良し、2人プレイでガチ読み合いを楽しむも良し。シンプルなルールの裏にリチャード・ガーフィールドらしい練られた駆け引きが詰まった、隠れた佳作である。軽量ゲームの合間に、頭と心をちょっとだけ使いたい――そんなときにこそ、テーブルに並べたい一作だ。



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