【レビュー】ロール・フォー・ザ・ギャラクシー:野望の果てに / Roll for the Galaxy: Ambition

2~5人用
30~60分 
14歳~


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1. 追加コンポーネントとセットアップ

拡張では以下が加わり、毎回すべて(目的タイルは任意)を混ぜて使用します。

勢力タイル/初期ワールド:新しい出発点が増え、多様な初期エンジンを試せる。

新ダイス2種:リーダー(黒)/起業家(オレンジ)。ゲーム開始時、各プレイヤーは白ダイス3個ではなく「白2+リーダー1」でスタートするため、序盤から特殊効果を体験できます。

目的タイル:公開された条件を達成すると取得できる目標。

逸材(Talent)カウンター:目的達成の報酬として得る“使い捨てワーカー”兼得点。

セットアップ時はカップ内を新仕様に調整し、目的タイル(推奨6枚:後述の「最初達成」「最多達成」など混在)を公開。残りは箱に戻します。

2. 新ダイスのしくみ

リーダーダイス(黒)

面構成に「2つのフェイズアイコンを斜線で区切った面」があり、ダイスを振った後に自分が選んだフェイズが不発でも、表示されたもう一方のフェイズに“自動振り替え”されやすく、行動失敗リスクを大幅に低減。

「$(クレジット)」アイコン付きの面は、そのダイスを割り当ててタスクを完了すると、市民区に落ちず即カップへ戻る=再利用サイクルが速い。

消費(出荷)フェイズでの色合わせでは“ワイルド”扱いで常にマッチするため、序盤から高効率出荷が可能。

起業家ダイス(オレンジ)

$(資金)に関連する面が多く、資金獲得や経済系エンジンの加速役。

消費時はどの色にもマッチしない“無色”扱いなので、直接の出荷効率は低い一方、資金再注入や開発・移住の土台を整えるサポート寄り。

これら2種をどう組み込むかで、従来よりも“資金回転型”や“柔軟フェイズ選択型”といったプレイスタイルが明確に差別化されます。

3. 目的タイルと逸材カウンター

目的タイルは大きく二系統(日本語版でも判りやすく「先着型」「最多型」などと呼ばれることが多い)に分かれます。

先着型(First):条件を最初に満たしたプレイヤーが即座に獲得し、報酬として逸材カウンターを得る。以降その目的は裏返り、他プレイヤーは狙えない。

例:最初に○○種のダイスを獲得する/特定枚数のタイルを置く など。

最多型(Most):ゲーム終了時に該当分野で最多のプレイヤーが獲得。タイなら全員が報酬を得る。中盤以降の方針付け・牽制要素。

逸材カウンターは獲得時、自分の前にストックされる“一時的ダイス”。任意のフェイズに割り当てて使用するとタスク解決後に供給へ戻る(消滅)ため、ここぞの一手を確実化できます。使わなかった逸材は1個=1VP(勝利点)として終盤の底上げにもなるため、「即効性(今投じてタイルや資金を伸ばす)」と「温存による確定得点」のトレードオフが生まれます。

4. その他のルール変更

資金ブレイクの緩和:フェイズ中に資金が0を下回る状況が生じても、即座に1にリセットされるため、極端な停滞が起こりにくい。

新タイル群:起業家/リーダー色や逸材とシナジーする開発・世界が追加され、既存タイルとの相互作用でコンボ幅が拡大。特に“目的達成を補助するタイル”や“新ダイス獲得・転用”系が戦略的に重要。

5. プレイ感・戦略的考察

(1) 序盤の安定化

基本セットで発生しがちだった「狙ったフェイズがめくれず失速」「資金枯渇→ワーカー回収不能」のストレスが、新ダイスの柔軟性と資金リセットで顕著に軽減。これにより“初手の方向性を決めてから回す”テンポが速く、プレイ時間も大きく伸びません。

(2) 中盤のレース/読み合い

目的タイルは“可視化された中間ゴール”として、他プレイヤーの行動を注視する動機を与えます。誰かが条件に近いと感じたら、自分も急いで同条件を達成するか、別の目的へシフトするかの判断が生まれ、インタラクションが増加。最多型目的は終盤まで開示情報として揺さぶり続けるため、タイル配置やダイス獲得の優先順位に微妙な調整を強要します。

(3) 逸材カウンターの活用タイミング

使いどころは大きく二つ:

ブースト使用:欲しいフェイズに通常ダイスが足りない/目的を“先着”で取りたい瞬間に投入し、確実な達成へ。

温存得点:自エンジンが十分回っているなら無理に消費せずVP化。

特に終盤、勝利点サプライ枯渇やタイル12枚到達が近い展開では、逸材を残してゲーム終了を迎える判断が勝敗を分けます。

(4) 新ダイスの組み合わせ

リーダーでフェイズの柔軟性を確保しつつ、起業家で資金再補充→白/他色ダイス購入→さらなるタイル展開、という“多色循環”が強力。逆に目的によってはリーダーを優先的に増やし、出荷効率・フェイズ誘発率を高めてゴールを独占するビルドも成立します。

6. 総合評価(長所/短所)

観点長所短所

アクセシビリティ序盤失敗が減り、初プレイでもエンジンが回りやすい目的/逸材の導入説明でルール量がやや増加

戦略性目的・新タイル・新ダイスにより多彩なビルドが生まれる目的のランダム性により毎回の難度バラつき

インタラクション目的争奪で他者状況を常に意識競争が苦手なプレイヤーにはプレッシャー増

リプレイ性組み合わせ爆発的増加で長寿命化基本セットの“シンプルさ”は少し後退

結論:『野望の果てに』は、基本ゲームのテンポと直感性を維持したまま“方向性(目的)”“柔軟性(新ダイス)”“爆発力(逸材)”を追加し、リプレイ性と戦略的深みを大きく底上げする拡張です。基本セットを遊び込む予定があるなら、早期導入しても学習コスト以上のリターンが見込める“必携級”と言えるでしょう。
ボドゲーマで購入可能


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