【レビュー】ディズニー・ヴィランズ 拡張版1 ―邪悪なるもの― / Villainous: Wicked to the Core

2~3人用
40~60分 
10歳~


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どんなゲーム?

各プレイヤーは自分専用のボード(4つのロケーション)を移動し、そこに描かれたアイコンの行動を実行して、自分だけの勝利条件を最初に満たしたら勝ち。相手はあなたの宿命(Fate)デッキからヒーロー等を引いて上段を覆い、行動を塞ぐことで妨害します。移動→行動→(相手に)宿命で妨害というテンポ感が、拡張でも変わらず洗練されています。

システム解説(各ヴィランの“勝ち筋”と個性)

ハデス(『ヘラクレス』)

目的:手番開始時に“オリュンポス山”に〈罠にかかっていないタイタン〉が3体以上。ハデスの勝利は「開始時のみ」判定という例外が明記されています。

主要ギミック:タイタンは冥界にのみ登場し、移動アクションで前線へ進め、能力も持つ“特別な味方”。罠(Trap)で足止めされたタイタンは解除が必要です。さらにチャリオットを使えば通常行動後にもう1アクションでき、詰めの速度が跳ねます。

ドクター・ファシリエ(『プリンセスと魔法のキス』)

目的:〈タリスマン〉を自分がコントロールしつつ、「ニューオーリンズを統べる(Rule New Orleans)」を〈フォーチュン山〉からめくって成功させること。専用のフォーチュン山には自分や相手のカードが送られ、《The Cards Will Tell》で公開して成否が分かる――運命操作らしい“山処理”が核です。

注意:強さ3以下のヒーローはタリスマンを奪取できるため、ヒーロー管理とアイテムの置き方がシビア。

女王(魔女/『白雪姫』)

目的:スノーホワイトを“毒で”打倒する(Defeat Snow White)。そのために**4種類の〈材料(Ingredients)〉を揃えて“毒(Poison)を調合”し、十分な毒量を確保してから《Take A Bite》をプレイする手順が必要。序盤は右端のロケーションが“材料4種で解錠”**という盤面ギミックもあり、段取りが要求されます。

> 3体とも映画の要点が目的や処理系に直結しており、“テーマ×手順”の同期がこの拡張の魅力です。

プレイ感想(インプレッション)

“段取りで勝つ”手触りが濃い

ハデスはタイタン行軍の工程管理、ファシリエはフォーチュン山の仕込み→公開、女王は材料→毒量→一口で決めまでの手順最適化が勝敗に直結。**目的の露出時間(開始時判定の直前で整える)**を詰める思考が心地よいです。

妨害(Fate)が“目に見えて効く”

例:タイタンへの罠で足止め、タリスマンの奪取で計画崩し、ドワーフ展開でスノーホワイトを硬くする――どこを止めれば良いかが卓全体に分かりやすく、政治性も自然に発生します。

難易度の段差が明快

扱いやすい:ハデス > 中級:ファシリエ > 上級:女王という体感に落ち着きやすい構成(理由は後述のコツ参照)。拡張だけで2~3人の小編成でもテンポ良く回ります。

勝ちやすくなる“運用のコツ”

ハデス

“開始時のみ勝利”を逆手に:合計2体→最後の1体を開始直前に到達させるルートで露出時間を最小化。

チャリオット活用:通常行動後の1アクション追加で、移動/撤去/資源獲得の“最後のひと押し”を作る(※Fateは不可)。

罠・押し戻しに備える:**解除系カード(例:Pyros でアン・トラップ)**を計画に組み込み、行軍テンポを落とさない。

ドクター・ファシリエ

工程表を早立て:タリスマン確保→《The Cards Will Tell》発動の前提作り→フォーチュン山の“質”を整える。

ヒーロー強さ3以下に注意:タリスマン奪取の代表的リスク。除去/移動で先手先手に。

山の“厚み”を読む:山に成功札を十分混ぜた手応えが出るまで、無理に公開を連打しない。

女王(魔女)

材料の順張り→毒量の管理:4種達成→スノーホワイトを呼ぶ→必要毒量の見積もり→《Take A Bite》の一本道を最短で。

ロック解除の意識:**右端が“材料4種で解錠”**なので、序盤から材料を優先して行動の幅を広げる。

ドワーフ対策:ドワーフ多数で対象が硬くなる展開は定番。毒の積み増しと余計な手戻りの回避をセットで。

よくある落とし穴(裁定・手順ミス)

ハデスの勝利は“開始時のみ”:到達直後に勝てません。次の自分の手番開始まで崩されない設計で段取る。

タリスマン奪取:強さ3以下のヒーローにタリスマンを盗まれる仕様を見落としがち。ファシリエ側は装備の置き先を工夫。

女王の“材料4種”:同一種の重複ではロック解除になりません。4種類です。

ここが良い/気になる

良い

テーマ再現度:映画の核(タイタン行軍、運命のカード、毒リンゴ)がそのまま勝ち筋に。

導入のしやすさ:**独立拡張(2~3人用)**として手軽に始められ、他箱と混ぜる拡張性も高い。

気になる

卓の政治が濃い:リード役に妨害が集中しやすく、人数が増えるほど時間が伸びる傾向。

女王は“段取り依存”:材料→毒量→一撃の逆算力が要るため、初回は難しめの印象。

総評

“物語の手順”をそのまま勝ち筋にした好拡張。

ハデスは行軍管理の気持ちよさ、ドクター・ファシリエは山細工と公開のドラマ、女王は段取りからの一撃必殺が光ります。基本の遊び味はそのまま、非対称の厚みだけがしっかり増える――シリーズの「最初に足す箱」としてもおすすめです。



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